ふり返る道に

大寒に 赤き侘助 散りにけり 散り積むままに ただ赤かりき

澄みすめる空をさびしみ 立ちつくし 雲待てりけり 人待つごとく

ひと夜さを 挿せし蠟梅 香に籠もり けさの目ざめの いと あたらしき

うそ寒さ 恐るる薔薇の咲き殘り なまじ赤きが 目を悵(いた)ましむ

をとめ子の 丸き尻など目もて撫で ほの生臭き 悲しみを抱く

白洲正子の文章の中に歌人の北小路功光(いさみつ)の話が出てくる。部数の少ない彼の『説庵歌冊』という歌集をようやく取り寄せて読む。短歌には色調がある。一首読めばなぜだかその人の肌触りが感じられる。順風とは云えなかった幼き頃。あがき、あがいてそれでもうまくはいかない人生の悲哀。最期は宇治川の見渡せる場所で過ごされたのだという。

歌集を読んでふとこの曲が頭に浮かんだ。ふり帰る道に痛さを感じながら。

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1968年