山頭火的な

「数寄を旨として何の業績も残さず市井に埋もれる」と昨日書いたら、早朝のラジオで山頭火が特集されていた。彼の原風景は母の自殺から始まる。一家の没落とともに酒と放浪の中、ただ俳句だけを旨として生きた彼。

就職して新宿柳町の会社の寮に入ったとき、隣の部屋の同期が山口出身で山頭火の句集と坂口安吾の全集だけを持ってやって来た。彼もまた俳句と酒が好きな男だった。渋谷の居酒屋で飲んで互いが「払うだろう」と思い込み外に出てごちそうさんと言えば「え?払ってないの」と顔を見合わせて走った逃げた間柄である。

飲むといつも寒いと言って悪酔いをしてどこか悪いのかと思っていたが、そのうち脳に腫瘍が出来、仕事も閑職に追われ、今は日本語教師をしている。このまえは父親が再婚した若い女に財産を取られて逃げられたという一大事をなんだかバラエティー番組の様に聴かせてくれた。

今も年に一度山口に帰省するときに京都に寄ってくれる。酒をやめたと言うと信じられんと言って少し険悪にはなったが。地方の小さな文学賞の最終選考まで残ったことをまた自慢たっぷりに話す。山頭火的な人にはどういうわけか惹かれる。

浜大津港の小さな花

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